前任の田島 眞先生から本学会の会長を引き継ぎました。本学会は1983年に発足した「酵素法による食品分析研究会」が前身であり、その後、2004年には「食品分析研究会」となり、2015年から「日本食品分析学会」として活動してきております。
私たちの健全な食生活と健康の維持増進には、その基礎となる食品分析学の発展とその知見の社会への還元が極めて重要です。昨今は食品分析に使用する質量分析装置など分析機器の購入と維持管理に高額な費用を要することが多いため、全国の大学からは食品分析に関する研究室や研究者が少なくなる傾向があります。また、新たな食品の開発などで、簡便で安価な臨床用の測定キットを使用して食品成分を分析して間違った値を報告している論文も見受けられます。まだまだ食品分析に関しては多くの課題があり、本学会は、学術集会の開催、学会誌の発行、公定法・分析法の確立とその情報提供、他学会との連携等の事業により、食品分析に関する課題解決と分析化学の発展に貢献します。
本学会は発足から今年で42年になります。本学会の会員の皆様とともに我が国の食品分析学のなお一層の発展に微力ながら尽力したいと思います。宜しくお願い致します。
2025年5月
日本食品分析学会
会長 宮澤陽夫